採取編で書いたとおり、日曜に採ってきた二度目のチャンバラ貝。今回の本題は、食べることより砂抜きである。
前回の反省を、全部やる
前回の実食で、自分は替えの海水を汲まずに帰り、採った当日に食べて、半分砂入りという苦い思いをした。今回は同じ轍は踏まない。現地でまず相当洗い、さらに帰ってから用の替えの海水もちゃんと汲んで帰った。
家では海水に入れてエアポンプでブクブク。まめに貝を洗っては砂だけをのけ、海水も入れ替える。
工夫もひとつ。吐いた砂を、また貝に吸わせたくない。少しでも貝の位置を底から離したくて、トレーの下にはブクブクのストーンに、そこらで目についた納豆の容器、スプーン、どこかの店で食べてもらってきた長太郎貝(ヒオウギガイ)の貝殻まで沈めて、底上げした。要するに、あるもの総動員である。海水はトレーの縁までなみなみと張った。干物作りの猫よけマットといい、最近は物の下に隙間を作ることばかり考えている気がする。
その日の晩にはさらに、水でガンガン洗いまくってから海水に戻した。翌日もみんな元気で、ザルの中から目ェをひょこひょこ出してこっちを見ている。

そして月曜の晩、いよいよ食べる前の最後の洗いのとき。トレーの底を見て、思わず声が出た。

まだ、これだけ出るのだ。丸一日かけて、あれだけ洗って海水も替えて、それでもこの砂である。前回、採ったその日に食べて半分砂入りだったのは、当たり前だった。この黒いのが全部、口の中でジャリッとくるはずだったのだから。
最後にもう一度ガンガン洗って、調理に入った。
塩茹で。水から入れて、沸騰後5分
作り方は前回と同じく塩茹で。3%の塩水に貝を入れて水から茹で、沸騰したら5分。あとはザルにあけて完成だ。

この日の食卓は、チャンバラの塩茹でに、ヒレナガカンパチ最後のアラの塩焼き、もらいもののじゃがいもをチーズで炒めたやつ。カンパチは頭からアラまでこれで完食、じゃがいもチーズは以前「足くさっ!」で大失敗したやつの、賞味期限内チーズでのリベンジである。こっちは文句なしにバッチリだった。
ちなみにこのアラ、ちょっとした後日談がある。ヒレナガカンパチはパーシャルで熟成させていたので、3枚におろすときに半凍りで切りにくく、骨に身がだいぶ残ってしまっていた。ところが、これが後々功を奏した。骨まわりに食べるところがたっぷり残っていて、塩焼きにするとこれはこれで美味い。骨に付いた身は、特に旨いのだ。気づけば、骨を貪り食っていた。
実食。砂は——なかった
爪を持って、クルッ。身を口に放り込む。
……砂は、なかった。
「よし!」
一粒も噛まない。最後まで一度も噛まなかった。前回の半分砂入りからの、完全リベンジ達成である。やはりチャンバラ貝は、最低でも一日、替えの海水で砂を抜いてから食べるものだ。手をかけて世話をした分だけ、ちゃんと応えてくれる。
そしてデカいやつ。これが良かった。歯応えがしっかりあって、噛むほどに旨みが強い。小さいのはコリコリ、デカいのはむっちり。型が良いというのは、貝でもやはり正義らしい。
おまけ。引きこもりのニナ
新規開拓ポイントで採ってきた、大きめのニナも一緒に茹でた。のだが——。

完全に、引きこもった。
蓋がずーっと奥まで引っ込んで、身が一切見えない。爪楊枝も届かない。「どうやって食えっちゅうがな」。殻を割って取り出すか、しばらく悩んだが、やめておいた。新規開拓はポイントも空振り、ニナも空振り。そういう日もある。
まとめ。空振りの日も、砂ゼロなら勝ち
新しい浜は空振り、実績ポイントも渋い日だったが、持ち帰った貝を丸一日かけてきっちり砂抜きして、砂ゼロの塩茹でで晩酌までたどり着いた。採りの空振りは、食いで取り返せる。
次は潮のいい日に、また新しい浜を探すつもりだ。チャンバラ貝の場所探しは、まだまだ続く。

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