泳がせ釣りは、本命を狙う前に、まず活きエサとなる小魚を自分で釣って確保するところから始まる。エサが揃わなければ、そもそも勝負にならない。先日の浦戸湾では、その餌が豆アジしか釣れず、全員坊主に終わった。
今回の宿毛・沖ノ島でのライト泳がせでも——自分は、この餌集めで思わぬ苦戦をすることになる。
宿毛・片島港から、沖ノ島へ
7月5日、宿毛市の片島港から恋丸で6時に出船。曇り空でのスタートだ。狙いはカンパチ、クエ、それに大きめのハタといった根の大物。本音を言えば、10キロクラスのカンパチを頭に描いていた。釣り方は、ライトな泳がせ釣りだ。

「ライト」泳がせって、何がライト?
同じ泳がせでも、以前足摺沖でやったのはPE8号から10号を巻いたガチンコタックルだった。それに対して今回はPE3号から4号と、ぐっと軽い。これが「ライト」の中身だ。
ラインが細いぶん、やり取りは楽しくなるが、根に潜られたら一巻の終わり。そして泳がせる活きエサも、20cmから25cmほどのムロアジと、いくらか小ぶりで揃えることになる。
とはいえ、ライトと言っても十分に大物を狙える泳がせ釣りではある。20〜30キロクラスの特大を獲りにいく足摺のガチンコタックルが特別なだけで、この仕掛けでも10キロクラスなら十分に狙える。言うなれば、ちょっとライト寄りの大物仕掛け、といったところか。それでいて餌が小ぶりになるぶん、食ってくる魚の種類はグッと増える。
まずは、その活きエサ集めから

仕掛けを落とすと、ムロアジとサバが入れ食いだ。ただ、このサバがなかなか厄介だった。足摺のガチンコタックルなら、このくらいデカいサバはむしろ好都合なのだが、PE3〜4号のライト泳がせには大きすぎる。お土産ぶんを確保してからは、正直サバは逃してもいいくらいの気持ちで、小ぶりのムロアジだけを狙っていく。
なぜか自分だけ、サバしか釣れない

ところが、である。周りが餌にちょうどいいサイズのムロアジをガンガン釣り上げていく中、自分にはサバしか掛からない。原因は仕掛けだ。自作のサビキに使っていたのは、強靭イサキの8号より一回り大きいフラッシャー針。この針と装飾が、どうやら大きすぎたらしい。
しかも、ここでやらかした。素手で取り込んでいたものだから、暴れたサバの針が指に刺さり、返しまですっぽり入ってしまった。抜くのに、痛い思いをする羽目になる。「いたた、こら最初からグローブ付けちょくべきやった」。素手だとハリスも滑って扱いづらい。それでも、できるだけ素手で釣りをしたいのが、自分の性なのである。
仕掛けを替えたら、ムロアジがガンガン
小ぶりのムロアジの食いが悪いので、思い切って仕掛けを替えた。ハヤブサの落とし込み用仕掛け、強靭イサキの8号だ。
これが、当たりだった。替えた途端、餌サイズのムロアジがガンガン釣れ出したのだ。針はひと回り小さい強靭イサキの8号になり、長いカブラとティンセルが無くなっただけ。それだけの違いで、ムロアジの食いが随分と変わる。仕掛けというのは、本当に馬鹿にできない。

さあ、餌はたまった
指に針を刺し、鯖に翻弄されながらも、どうにか泳がせに使えるムロアジがイケスにたまってきた。これで、ようやく準備が整った。
あとは、この活きエサを潮に乗せて、本命の根の大物を待つだけだ。10キロクラスのカンパチか、それとも良型のクエか——。曇り空の下、期待だけはたっぷりと膨らんでいた。
泳がせ開始、序盤の一匹
泳がせを始めてすぐ、当たりっぽい気配があって合わせを入れてみた。いるような、いないような、よく分からない引き。半信半疑のまま巻き上げてみると——上がってきたのは、小さなウッカリカサゴだった。
本命には、まだ遠い。だが、この後の展開を思えば、これはまだ序の口に過ぎなかった。
だが、この日の海は、そう甘くはなかった。全身ずぶ濡れの修行と、思いがけない一本が待っているとは、このときはまだ知らない。その顛末は、後編で。

コメント