太刀魚を生き餌の泳がせで狙いに行った。結果から言うと、乗り合わせた全員が坊主。本命の太刀魚は、誰一人として顔を見られなかった。原因ははっきりしている。肝心のエサが、最後まで揃わなかったのだ。
台風上がりの曇り空、4時過ぎに出船
6月28日、4時過ぎに浦戸湾のオーシャンブルーで出船した。この日のメインは、生き餌の泳がせ釣りだ。
空はあいにくの曇りで、台風上がりのうねりがまだ残り、パラパラと小雨がぱらつく。前日もそれなりに雨が降っていたから、湾内には濁った水が出てきそうだった。正直なところ、出船の時点で「あんまり釣れそうな気配はないなぁ」とは感じていた。
太刀魚の泳がせは、とにかく難しい
仕掛けは、イメージとしてはヒラメの泳がせとほぼ同じで、ハリスをワイヤーに替えたものになる。太刀魚はあの歯だから、ハリスのままだと一発で切られてしまう。ただ、この仕掛けは市販では売っていない。だから自分も含め、ここで泳がせをやる連中はみんな、作り方を教わって一から自作している。
そしてこの釣り、はっきり言って最高に難しい。青物や根魚みたいに、食ったら向こう合わせ、とはいかない。太刀魚はガジガジと噛みついてから、ようやく口に入れていく。だから早合わせは厳禁で、ここで合わせようものなら、ほぼ抜ける。とにかく、じっくり待つ。渋い日ほどタチが悪く、針の無いところだけをきれいに食いちぎられることも、しょっちゅうだ。
それでも自分がこの釣りをやめられないのは、泳がせで掛かる太刀魚は型が大きいから。浦戸湾の大型は基本的に天竺太刀魚で、指5本から7本クラスが当たり前に出る。脂がぼったり乗っている時もあれば、身が硬くてしっかり寝かさないと食べにくい時もあって、当たりの時期はいまだによく分からない。指3本から4.5本くらいまでの本太刀魚のほうは、味は安定している印象だ。
浦戸湾の太刀魚は、釣り方がいくらでもある
浦戸湾の太刀魚は、とにかく釣り方が多彩だ。テンヤ、小型テンヤ、生き餌泳がせ、死に餌泳がせ、ジギング、キビナゴ仕掛け、ワインドと、その時期その時期に応じて手を変える。なかでも泳がせは、大型が出やすい釣りだ。だからこの日も、生き餌泳がせを軸に組み立てるつもりでいた。
まずは、そのエサが釣れない

泳がせは、まず活きエサの確保から始まる。近場の堤防周りや外海の岩礁帯に着けて、サビキでベイトを集めていく。
ところが、ここで雲行きが怪しくなる。台風の影響で船はよく揺れるし、濁りも酷い。そして肝心のエサが、思うように釣れない。本当は20cm前後のサバやアジ、カマス、ワカナあたりが欲しいところだが、上がってくるのはほぼ豆アジ。たまにカタクチイワシやカマスが混じっても、揃いも揃って10cmクラスばかりで、泳がせるには小さすぎて話にならない。
「こらいかん、こんまいのしか釣れんねぇ」
ポイントをあちこち移動してみても、結果は同じだった。エサ釣りにじわじわ時間を取られているうちに、貴重な朝まずめが刻々と過ぎていく。結局、このちっこいベイトで勝負するしかなく、腹を決めて浦戸湾へ帰港した。
日曜日なのに、湾内の船は妙に少ない。なんとなく、嫌な予感がした。
本命は、最後まで沈黙

泳がせを始めるも、小さい豆アジは仕掛けに付けてもすぐに弱って死んでしまう。これではエサにならない。小型テンヤにも切り替えてみたが、泳がせもテンヤも、どちらも無反応。魚探をちょいちょい覗いても、ベイトの反応も、太刀魚っぽい反応も悪い。
周りを見ても、当たりがあっても乗らなかったり、目の前でバラしたり。小型のチャイロマルハタを釣り上げた人はいたものの、本命の太刀魚は、結局誰一人として釣れなかった。
今日いちの当たりは、エサ釣りの最中だった

皮肉なもので、この日いちばんまともな当たりは、エサを釣っている最中に、何かにガツンと引ったくられた、あの一瞬だけだった。
去年の今頃は、泳がせもテンヤも、ちゃんと釣れていた。それが今年はこのザマだから、釣りはやっぱり自然との兼ね合いで、こればっかりはどうにもならない。以前、足摺岬沖の泳がせで坊主を食らった時の話も書いたが、泳がせという釣りは、ハマれば大物、外せばこの通り。本当に難しい。
こんなことなら、エサ釣りの時点でいっそ落とし込み仕掛けにしちょったらよかったな——と、今になって思う。笑

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