太刀魚のエサにすら、ならなかった豆アジ。先日の浦戸湾の泳がせ釣りでは、こいつが10cmほどしか釣れず、結局ベイトとして使えないまま全員坊主に終わった。
でも、ただでは帰らない。エサにならなかった豆アジは、ぜんぶ持ち帰ってきた。釣りは坊主でも、食卓まで坊主にする気はない。
豆アジ40匹、捨てるのはもったいない

持ち帰った小魚は、ぜんぶで40匹ほど。一緒に行った連れがくれた分も合わせての数だ。10cm前後の豆アジに、カタクチイワシやカマスもちらほら混じっている。
正直なところ、豆アジを持ち帰って料理する人は少ない。大半は面倒くさがって、釣りが終わるとそのまま海に逃したり、捨てて帰ってしまう。気持ちは分かる。小さいし、さばくのが手間だ。
でも、完全坊主で帰ってきて、おかずがゼロというのも、なんだか寂しい。「もったいないき、もろうて帰るわ」——貧乏性の自分は、連れの分までありがたく頂戴してきた。
40匹の下処理は、地味に修行

まずは下処理から。豆アジの頭と内臓、それからぜいごを外していく。一匹ずつは小さいからすぐなのだが、これが40匹ともなると地味に効いてくる。同じ作業を、ただ延々と繰り返すのだ。
下処理が済んだら、軽く塩をして、キッチンペーパーに包んでしばらく置く。こうして余分な水気をしっかり抜いておくのが、カラッと揚げるコツだ。
あとは片栗粉をまぶして揚げるだけ
水気が取れたら、並べて塩胡椒をふる。それをビニール袋に放り込み、片栗粉を入れて、袋ごとシャカシャカ振る。これで全体に薄く粉がまわるし、洗い物も少なくて済む。
あとは油でカラッと揚げるだけ。小さい魚だから火の通りも早い。きつね色になったら引き上げる。難しいことは、何もない。
魚嫌いの息子が、ご飯に乗せて止まらない

揚げたての豆アジは、頭から尻尾まで丸ごとバリバリいける。骨も気にならない。シンプルな塩胡椒が、かえって豆アジの旨さを引き立てる。
そして、ここで思わぬことが起きた。普段、魚をほとんど食べない息子が、黙々とご飯に乗せては、ガブガブと止まらないのだ。揚げたてを次から次へと頬張っては、また白米をかきこむ。
「珍しいにゃあ、こんなに魚食うがは」
思わず、そう声をかけてしまった。
久々に、誘ってみるか
正直、40匹の下処理は地味にめんどくさかった。それでも、エサにもならなかった豆アジが食卓の主役になって、しかも普段魚を食べない息子がここまで食べてくれるなら、手間をかけた甲斐があったというものだ。
そういえば、息子も娘も小さい頃は、よく一緒に堤防サビキに行ったものだった。それが思春期の年頃になると、ぱったり釣りに行かなくなってしまった。
この食いっぷりなら——久々に、息子を堤防サビキにでも誘ってみるか。

コメント