高知県民なのに知らなかった、なすのたたき|揚げる前に塩を振ると油の減りが変わる

薬味をたっぷりのせた茄子のたたきとケンサキイカの刺身 料理・レシピ

親が趣味で茄子を作っている。夏になると食べきれん量ができるので、毎年おすそ分けをもらっている。今年も中サイズが3本。ついでに、庭に勝手に生えている大葉も一緒にもらった。植えた覚えもないのに毎年出てくるらしい。

こういうものをもらうと、その日の献立は自然と決まる。茄子のたたきだ。

カツオが釣れん時期も、うちは「たたき」を作る

たたきといえばカツオ。釣れた日は、迷わずたたきにする。

ただ、うちでたたきを作るのはカツオの季節だけではない。茄子ができるシーズンになると、今度は茄子のたたきを作る。魚が主役の家で、野菜が同じ名前の料理として並ぶのは、考えてみると妙な話ではある。

この料理を知ったのは、テレビだった

正直に書いておくと、自分がなすのたたきを知ったのは数年前で、しかもきっかけはテレビだった。秘密のケンミンSHOWで高知の料理として紹介されていたのを、たまたま観たのが最初になる。

「え? こんな料理あったがや。高知県民やに知らんかったぞ」

生まれてからずっと高知に住んでいる。それでも近年まで、一度も食べたことがなかった。

茄子といえば安芸、というのは知っていた。県内では有名な産地だ。ただ、その茄子をたたきにして食うという発想までは知らなかった。同じ県内でも作る家と作らん家があるはずで、地域差はそれなりに大きいんだろうと思う。

気になって調べてみると、なすのたたきはやはり高知の郷土料理として紹介されていて、しかも本場は安芸のあたりだった。産地と料理が、ちゃんと同じ場所で繋がっていたわけだ。

そしてもうひとつ。本来は薬味だけでなく、焼いたアジや干物のほぐし身を合わせるものらしい。これが後で効いてくる。

揚げる前に塩を振る、というYouTubeの話

いつもは何も考えず、切ってそのまま素揚げしていた。今回はふとYouTubeを覗いてみたら、こんな話が出てきた。

茄子を切って塩を振っておくと、揚げる時に油が減りにくい。

正直、半信半疑だった。茄子から水が抜けるということは、その分だけ隙間が空くわけで、そこに余計に油が入るんじゃないか——というのが自分のイメージだったからだ。

とりあえず、やってみることにした。

下ごしらえはこれだけ

  • 中サイズの茄子3本を輪切りにする
  • 表と裏に塩を振る。軽く以上、しっかり未満
  • 10分ほど置くと水気が出てくる
  • キッチンペーパーで拭き取る

本当に、油の減りが少なかった

フライパンに1cmほど油を入れて、茄子を投入する。ついでにニンニクのスライスも一緒に放り込んだ。

フライパンで揚げ焼きにする茄子とニンニクスライス
フライパンに油は1cmほど。ニンニクのスライスも一緒に放り込む。

いつも茄子を素揚げすると、入れた瞬間から、みるみる油を吸い込んでいく。途中で油が足りなくなって継ぎ足す、というのが毎回の流れだった。

今回はそれがない。焼き色が付いてきたあたりで裏返して、上がったものからバットへ移していく。3本分を揚げ終わっても、フライパンの油はまだしっかり残っていた。

バットに並べた揚げ上がりの茄子と揚げニンニク
3本分を揚げ終わっても、油はまだしっかり残っていた。左下が揚げニンニク。

「ほんまに減っちゃあせん」

一緒に入れたニンニクも、いい色に揚がった。

なぜ? 水が抜けた穴に油が入る、のではなかった

得した気分にはなったものの、理屈がさっぱり分からん。気になって調べてみたら、自分のイメージが逆だった。

茄子は果肉の9割以上が水分で、中身はスポンジのように細かい隙間が詰まった構造になっている。普通に揚げると、この水分が熱で蒸発して、空いた隙間に油が入り込む。これがいつもの「みるみる吸う」の正体だった。

一方、塩を振って置いておくと、浸透圧で水が抜けると同時に、スポンジ状の組織そのものが潰れてしんなりする

つまり、水が抜けた穴に油が入るのではなく、穴のほうが先に減っている。だから吸う油も少なくて済む。

自分は「水が出た分だけ空きができる」と思い込んでいたが、実際は隙間ごと押し潰れていたわけだ。言われてみれば、絞ったスポンジが膨らんだままということはない。

薬味は全部のせ。ツナ缶が、実は正解だった

薬味は家にあるものを片っ端から使う。玉ねぎ、大葉、ミョウガ、ねぎ、カイワレ。大葉はもらった分をたっぷり刻んだ。

それと、ツナ缶をひとつ。これは薬味に埋もれて写真ではまったく見えないが、毎回入れている。

……で、さっき調べた「本来はアジや干物のほぐし身を合わせる」という話を思い出した。魚のほぐし身が入るポジションに、自分は何も知らないままツナを放り込んでいたことになる。

「知らんうちに、ちゃんと郷土料理やったがや」

ニンニクは、茄子と一緒に揚げてしまう

薬味の中には、さっき一緒に揚げたニンニクスライスも混ぜている。

うちの嫁は匂いに敏感で、ニンニクの匂いをとにかく嫌がる。生のまま薬味に入れると一発でバレるが、油で揚げてしまえば香ばしさのほうが勝つ。茄子と同じフライパンで済むので、手間も増えない。

これなら気づかれまい。

タレはポン酢7、麺つゆ3

味付けはポン酢だけでも十分いけるが、自分は麺つゆを少し混ぜる。割合はポン酢7に対して麺つゆ3くらい。ポン酢の酸味が少し丸くなって、揚げた茄子によく合う。

ここで使ったのが、こないだイカの沖漬けで辛すぎた3倍濃縮の麺つゆだ。検証のつもりで1Lのお徳用を買ってしまい、盛大に余っていたやつが、ようやく役に立った。

濃いものは、薄めて使えばいい。当たり前の話ではある。

この料理のうまさは、結局このバランスにあると思っている。油で揚げた茄子はそれだけだとどうしても重いが、そこにサッパリした薬味とポン酢が乗ることで、ちょうどいいところに落ち着く。揚げ物のはずなのに、箸が止まらん。

ケンサキイカの刺身と、お中元のビール

この日は、ストックしてあったケンサキイカも解凍して刺身にした。冷凍したものは皮が剥ぎやすいうえに、甘みが増して悪くない。

薬味をたっぷりのせた茄子のたたきとケンサキイカの刺身
完成。薬味の下にツナ缶が隠れている。

そして、お中元でもらった純正のビール。普段は第三のビールなので、缶を開ける時点で少し気分が違う。

「うまいに決まっちゅう。なんぼでも飲めるわ」

親がくれた茄子、勝手に生えた大葉、自分で釣ったイカ、もらったビール。ほとんど買っていない食卓だが、こういう晩がいちばんうまい。

次は、ゴマ油と鶏がらスープの素を試してみる

ひとつ思いついたことがある。カツオのたたきにゴマ油と鶏がらスープの素をかける食べ方を覚えてから、うちのカツオはずっとその味になっているが、あれは茄子のたたきにも合うんじゃないか。

揚げた茄子とゴマ油の相性が悪いはずはないし、鶏がらの旨味が薬味と喧嘩するとも思えん。ポン酢を減らして、その分を足してやればいい。

次に茄子をもらったら、半分だけそれで食ってみる。

11日は愛南町。ただし15号が気になる

11日は愛媛の愛南町までイカメタルの遠征に行く予定になっている。心配していた13号は逸れてくれそうな気配で、風と波の予報を見る限りは行けそうな傾向だった。

ところが今度は15号が西日本に寄ってきそうな感じで、まだ何とも言えん。

「どっちかにしてくれや」

無事に行けたら、また刺身と沖漬けの話になると思う。沖漬けは今度こそ2倍濃縮で。

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高知在住。高知県内を中心に釣りや潮干狩りを楽しみ、時には隣県へも遠征。旬の釣りを満喫しながら、釣れた魚・採れた貝を使って適当に・簡単に・まったりと料理するのがモットー。

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