8月11日、愛媛県愛南町からイカメタルに行ってきた。県外への遠征は初めてである。
台風13号は幸い中国大陸のほうへ逸れて、ウネリの心配はなくなった。ところが今度は関東から西日本に近づいてくる台風15号があって、こちらの風には影響が出ていた。
「風速6mくらいなら出る」
この時期のイカメタルは、休みが絡む日だと予約がかなり前から埋まる。今回押さえたのは愛南町福浦のあづまや渡船。まだ知る人が少ないのか、直近の予約でも取れた。
ところが日が近づくにつれ、予報が悪くなってきた。愛南町沖は風速9〜10m。「これは絶対中止だろう」と思いながら前日に電話を入れると、返ってきたのはこんな答えだった。
「風速6mくらいなら出ますよ」
宿毛湾は北西の風なら釣りが成立するポイントなのだという。北寄りの風ならウネリも多少はマシになる、と。実際、湾の北側は陸で守られている。
よその船の前日の釣果は35杯前後という情報もあった。加えて、この日は新月。最近は月がほとんど出ている日が続いていて、そのたびに渋かった。だからこそ、この新月には期待をかけていた。遠征としては渋めだが、目標は最低でも30杯、もしかしたら爆釣——そう思って出発した。
リニューアルしたての船だった
着いてみると、船がきれいだった。2年前にリニューアルしたとのことで、休憩室も広くて清潔である。
18時出船。海面はもう、ざわついていた

18時出船。夕日を背に走り出す。写真では分かりにくいかもしれないが、海面はしっかりざわついていた。台風15号の風が、ここまで届いているということだ。
ポイントまでは40分ほど。
暗くなってから驚いたのが集魚灯の明るさだった。

タックルの準備にヘッドライトが要らない。仲間と水深を確認し合う時、船によってはリールのカウンターのライトを点けて読むものだが、この船はカウンターのライトなしでも数字が余裕で見える。それくらい明るい。
風が、潮に勝った
釣り座に着いてから、この日の難しさが分かってきた。
海流は1ノット。Windyの予報では風向きと潮の向きは同調するはずなのだが、この日は風の勢いが潮に勝っていた。シーアンカーを入れても船の流れが速い。
結果、オモリを30号まで上げてもラインは斜めにしか入らない。真下に落ちてくれない。
そうなると何が起きるか。お祭りである。
しかも自分の仕掛けの中で絡む「手前祭り」ではない。船には12人が乗っていて、全員のラインが斜めに出ている。そうなれば、隣と絡まないほうが不思議だ。
対策として、いつもは枝を2本出すところをこの日は1本に減らした。手数は落ちるが、絡んでいる時間のほうがもったいない。
投入の仕方も変えた。ラインが流れる方向とは逆側にアンダーキャストで入れる。それでもラインの角度が悪くなってきたら、我慢せずマメに回収して入れ直す。この回数はかなり多かったと思う。
ありがたかったのは、周りの人もこの作業をこまめにやってくれる人が多かったことだ。一人が角度を放置していると、そこに全員が引っ張られる。船全体で気をつけてくれていたおかげで、この日はまだやりやすいほうだったと思う。
アタリはカウンター60m、実際のタナは40mくらい
イカの活性も低かった。たまに出るアタリは、カウンターで60m付近。
ただしラインが斜めに出ている分、実際のタナはもっと浅い。おそらく40mくらいだろう。極端に沈んでいるわけではなさそうだが、かといって浮いているとも言えない。微妙な棚だった。

オモリグに替えたら、動いた
途中でオモリグに切り替えてみた。すると、やや状況が改善した。
理由は推測でしかないが、仕掛けの流れが速い状況だったので、ハリスが長いオモリグのほうが、イカに対して自然に見せられたのかもしれない。スッテが水の中で不自然に引っ張られる度合いが、その分だけ小さかったのだろうと思う。
ここは自分にとって大きかった。
前回の釣行記にも書いたが、オモリグは今シーズン、ずっと結果が出ていなかった。40杯釣れた日も、5杯で終わった日も、必ず入れてはいた。それでも一度も答えが返ってこなかった。
それがこの渋い日に限って、オモリグが好機を作ってくれた。
釣果は12杯、納竿は23時15分
最終的に12杯。内訳はケンサキイカ11杯、スルメイカ1杯。サイズは普通だった。23時15分頃に納竿している。
船内トップは15杯。坊主の人もいたようだ(途中で釣りをやめて休憩室で休んでいた人がいたが、その方が坊主だったかまでは確認できていない)。
目標の30杯には遠く届かなかった。ただ、この条件でトップが15杯なら、12杯は悪くない位置ではある。が、遠征としては撃沈である。
ラインを切っていったのは、ギンフグ
この日の外道はギンフグ(シロサバフグ)だった。近くで釣っていた人は、これにラインを切られていた。
フグというと敬遠されがちで、リリースする人も多い。ただ、ギンフグは刺身にしても唐揚げにしても干物にしても美味い。捌くのもそう難しくない。ラインを切られて悔しい思いをするくらいなら、持ち帰ったほうが得だと思う。
当たったのは、この4本

杯数の内訳はこうなった。
- クレイジーオーシャン ハードパンチャー ブラックケイムラ:5杯
- シマノ フラッシュブースト:3杯
- グラマラスッテ 30号(メタル):3杯
- 赤黄のスッテ:1杯
トップはクレイジーオーシャンの黒。渋い日に、黒に反応が出たというのは覚えておきたい。
グラマラスッテは前回も当たっていて、相変わらず品薄が続いている。使いたい時に手に入らないのが困る。
持ち帰り

イカ12杯と、外道のギンフグ。クーラーは寂しいものだが、それでも刺身には十分である。
台風の日に出て、分かったこと
数だけ見れば12杯で、遠征としては失敗の部類に入るかもしれない。
ただ、風が潮に勝つとどうなるかを体で覚えられたのは収穫だった。ラインが斜めに入る。カウンターの数字は当てにならない。12人が同じ状況なら、お祭りは避けられない。枝を減らすしかない。
そしてそういう日にこそ、オモリグが効くことがある。今シーズンずっと沈黙していたものが、いちばん条件の悪い日に動いた。これは次に持って行ける。
愛南町は初めてだったが、船も港もよかった。凪の日に、もう一度来たい。

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