イカメタルで使うドロッパーを、バケツの水に沈めてみた。狙いは姿勢を見ることである。糸を結んだときに、水中でどんな角度で止まるのか。それが知りたかった。
結果から書くと、ケツが上がっていた。それも1本ではなく、何本も。
1本1000円を超えるのに、姿勢が揃っていない
よく使っているのは、がまかつのスピードメタル エギドロッパーF。エギの形をしたドロッパーで、今年買ったやつも含めていくつか沈めていった。
すると、はっきりした差が出た。80mmは全数が水平。ところが95mmはケツ上がりが多い。同じシリーズで、サイズが違うだけなのにこうなる。
ここで断っておくと、これはメーカーを責める話ではない。姿勢の個体差はどこの製品にもある。自分が引っかかったのは値段のほうだ。昔ながらの安いスッテなら、姿勢が多少バラついても「そんなもんやろ」で済ませられる。だが1本1000円を超えるエギタイプとなると、そこはもう少し揃っていてほしい、と思ってしまう。
バケツに落としただけでは分からない
ここで先に、確かめ方の話をしておきたい。というのも、自分は最初これを間違えていたからだ。
バケツに水を張って、ドロッパーをそのまま放り込む。これでは何も分からない。沈むタイプは底に着いてしまうし、浮くタイプは水面に浮いてしまう。どちらも底や水面に姿勢を決められてしまって、本当の角度が出ない。
針金を曲げて、アイに通して吊るす。そうやって中層に浮かせてやると、はじめて素の姿勢が出てくる。糸を結んで海中を漂っているときに近い状態、ということだ。
針金で吊るすと、ケツが上がっていた

これが施工前である。頭が沈んで、カンナのついた尻側が持ち上がる。いわゆるケツ上がりだ。
「なんぼなんでも、上がりすぎやろ」
イカはエサを抱きにくる生き物なので、餌木やスッテがどんな角度で止まっているかは効いてくるはずだ。少なくとも、自分が水中でこの角度になっていると知りながら使うのは気持ちが悪い。渋い夜に打てる手を全部打ったことを思い出すと、なおさらである。あのとき手元の道具がこうなっていたのかもしれない、と考えるとおもしろくない。
カンナに半田を2滴のせる
直し方は単純で、上がってしまう尻側を重くしてやればいい。そこで半田の出番になる。

手順はこうだ。まずカンナの下側を一時的に少し曲げて、半田をのせる面を作ってやる。そこにフラックスを塗ってから、半田を落とす。フラックスを省くと半田が玉になって転がるだけで、金属に食いついてくれない。ここは横着しないほうがいい。
のせる量は2滴。一気に盛るのではなく、1滴のせて水に入れ、様子を見てもう1滴、という進め方をした。曲げたカンナは最後に元へ戻す。
自分が使った半田ゴテは長年使ってきた年季の入ったやつだが、この作業に高いものは要らない。半田ゴテとフラックスがセットになったものがあれば十分に足りる。
水平に戻った

さっきと同じ個体である。半田2滴で、ここまで変わる。
「お、水平になったちや」
数グラムにも満たない重さだと思うが、水中での姿勢というのはその程度で決まってしまうものらしい。逆に言えば、それだけ繊細なところで各個体の差が出ているということでもある。
3本とも、同じことをした

この日やったのは3本。1本ずつ、沈めては引き上げ、半田をのせてはまた沈める、という往復である。地味な作業だが、目に見えて変わるので手応えはあった。

並べてみると、どれも同じ場所に銀色の粒がのっている。売り物のような美しさはないが、狙った仕事はしている。
ひとつ書き添えておくと、この3本は全部が同じメーカーではない。赤緑とクリアブルーの2本はさっき書いたがまかつの95mmだが、白い1本は別のメーカーのものである。つまりケツ上がりは、どこか一社だけの話ではない。冒頭でメーカーを責める話ではないと書いたのは、こういう意味でもある。
道具は、買ってきたままが完成品とは限らない
今回やったことは、要するに買ってきた道具に手を入れて、自分の納得する状態に直したというだけの話である。仕掛けを自作したときにも同じことを感じたが、既製品をそのまま使うのが当たり前だと思っていると、こういう発想にはならない。
もっとも、これで釣果がどう変わるかは、まだ何も言えない。水平のほうがいいはずだ、という理屈があるだけで、釣れた夜と渋かった夜の違いを、姿勢だけで説明できるとも思っていない。答え合わせは次の釣行以降になる。
それと、この記事では触れなかったが、自分はドロッパーを姿勢で仕分けて持ち歩いている。全部水平のお気に入りをレギュラー、そうでないものを補欠、という具合に。なぜそんな分け方をするようになったのかは、また別に書く。そっちのほうが、半田の話より長くなりそうなので。


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